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「第10回 NGP香川県豊島 環境保全・再生活動」を行いました
~岡山大学との第2回目の産学連携による植生回復活動~

2022年9月16日

NGP協同組合では、2022年9月13・14日の2日間、香川県豊島にて環境保全・再生活動を行いました。 第10回目となる今回は、前回に引続き第2回目の岡山大学大学院環境生命科学研究科の嶋教授が研究している豊島植生回復活動に産学連携で活動を行いました。

また、前回と同様に新型コロナウイルス感染防止の観点から、事前に抗原検査を行い、豊島への定期船は使用せず、チャーター船の利用など、可能な限り豊島住民と接触をしないよう配慮することに重きを置き、ボランティア活動を実施しました。

香川県豊島にて環境保全・再生活動地図

活動場所の位置図

●岡山大学が調査・研究を行っている場所及び活動について

今回NGPが活動した場所は、産業廃棄物不法投棄現場すぐ近くの豊島の産廃問題が起きる前の1960年後半に、不法投棄事件を起こした首謀者が珪砂(ガラス原料)を目的とした大量の土砂の採取をした場所で、産廃現場同様に岩盤がむき出しの荒れ果てた土地でした。
2015年より、廃棄物対策豊島住民会議の安岐事務局長から豊島本来の植生回復について相談を受けたのをきっかけに、岡山大学の嶋教授は、この場所で調査・研究を開始し、定期的に雑草を刈りながら、元々生えていた約18種類ほどの植物を、種子から発芽したばかりの芽を育てる活動を3年ほど続けましたが、ウルシ、アカメガシワ、イヌザンショウなど、特定の植物しか育ちませんでした。
そこで、15~16種類の植物があった裏側の山林の攪乱されていない土地から、埋土種子を持ってきて30ヶ所ほど移植する作業を行いましたが、芽が出るところと出ないところがあり、調べてみると、岩盤までの深さが15cmを境に、浅いところは芽が出てもすぐに枯れてしまい、深いところは芽が育つということが判明しました。

そこから、大学の研究として、30cm、15cm、7.5cmの3パターンの土の厚さでどこが一番よく育つか調べて2年目になりますが、7.5cmではたくさん発芽しても全部枯れてしまい、30cm、15cmでは発芽する量は少ないものの、それが全部生き残って、大きくなることが分かりました。
今年は、できるだけ土を薄くしてより効率をよくするため、土地改良材や緑化資材などを試しながら検証しており、研究室の学生が卒業論文の研究として担当しています。
この場所は、種子から2年間育てたツツジを豊島の子どもたちが植樹する作業を、以前から行っていた場所でもあり、3年間ほど毎年ボランティアが草刈りをして種を蒔く活動を行っていました。コロナ禍もあり、ボランティアの人手が足らず、雑草や枯れ松はそのままに、イノシシ避けのネットが老朽化するなど、荒れた状態となってしまっていました。
せっかく子どもたちが植えた場所で、3年ほど活動していた場所でもあったので、そこを今回戻そうということで、今回のボランティア活動となりました。

研究場所で生い茂る雑草と枯れ松1

研究場所で生い茂る雑草と枯れ松2

研究場所で生い茂る雑草と枯れ松3

研究場所で生い茂る雑草と枯れ松4

研究場所で生い茂る雑草と枯れ松

●NGPの今回の活動について

この場所の環境再生を行うため、嶋教授指導のもと岡山大学が研究している区画の、雑草や枯れ松の除去作業と、老朽化していたイノシシ避けのネット撤去し新たにワイヤーメッシュを設置する作業を行いました。

今回新たに作業する場所では、老朽化したイノシシのネットに雑草が絡まり穴が空くなどしていたため撤去しました。最近では、イノシシが新芽を食べるなどの被害が多く出ており、イノシシ除けの強化を行うため、金属製のワイヤーメッシュの柵を設置しました。
また、ワイヤーメッシュを設置した区画内も、枯れ松や雑草が多く生い茂り、研究対象となる環境再生のため植栽した植物の成長を阻害していたため、除去を行いました。

枯れ松の除去作業の様子

枯れ松の除去作業の様子

枯れ松の除去作業の様子2

枯れ松の除去作業の様子

雑草の除去作業の様子1

ワイヤーネットの撤去の様子

雑草の除去作業の様子2

ワイヤーメッシュ設置作業の様子

【ワイヤーメッシュ設置場所】作業前

【ワイヤーメッシュ設置場所】作業前

【ワイヤーメッシュ設置場所】作業後

【ワイヤーメッシュ設置場所】作業後

【枯れ松・雑草】除去前

【枯れ松・雑草】除去前

【枯れ松・雑草】除去後

【枯れ松・雑草】除去後

また、今年5月に作業した見学道の階段脇の植栽地も夏場ということもあり、また雑草が生い茂ってしまっていたため、再度除去を行いました。

【見学道の植栽地】の雑草除去1

【見学道の植栽地】の雑草除去

【見学道の植栽地】の雑草除去2

【見学道の植栽地】の雑草除去

【見学道の植栽地】作業前

【見学道の植栽地】作業前

【見学道の植栽地】作業後

【見学道の植栽地】作業後

また、今年2月に豊島小・中学校、岡山大学、瀬戸内オリーブ基金と合同で植樹※1した、コバノミツバツツジの植栽地では、成長を阻害する雑草の除去を行いました。

【コバノミツバツツジの植栽地】雑草の除去作業の様子1

【コバノミツバツツジの植栽地】雑草の除去作業の様子

【コバノミツバツツジの植栽地】雑草の除去作業の様子2

【コバノミツバツツジの植栽地】雑草の除去作業の様子

【コバノミツバツツジの植栽地】作業前

【コバノミツバツツジの植栽地】作業前

【コバノミツバツツジの植栽地】作業後

【コバノミツバツツジの植栽地】作業後

嶋教授は、
「不法投棄現場が40年間ほったらかしになったらどうなるかというと、今回の作業場所のようにしかなりません。それではだめだろうということで研究がスタートしました。 現場はツツジの花が咲き始めているし、様々な植物も出てきて、大きくなっています。 放置すると松枯れと雑草がひどい状況となりますが、土を盛って手入れを続ければ順調に育つという見本になればよいと思っています。」 と語っています。

今回は残暑厳しく、35度を超える中での作業となりました。定期的な水分補給をしながら熱中症対策を行い、額に汗し活動を行いました。
NGPでは、今後も瀬戸内オリーブ基金※2と協力して、「豊島事件」※3の悲劇を二度と繰り返さないために環境保全・再生活動に取り組んでまいります。

嶋教授(後列右から2人目)と学生たち(前列右から2人目・3人目)、NGPボランティア

嶋教授(後列右から2人目)と学生たち(前列右から2人目・3人目)、NGPボランティア

●「柚の浜」オリーブ植樹場所のオリーブに実が生る

今年3月に、これまで整備作業に取り組んできた「柚の浜」荒廃地の整備した土地を有効活用し植樹したオリーブの木に初めて実が生りました。5月に堆肥や水やりなどをし、成長を促してきましたが、全部で16本ある内の数本に実が生っていることが確認できました。
引き続き、豊島を元の豊かな島に戻すという強い決意を刻んだこの土地のオリーブの木の成長を見守っていきたいと思います。

2022-09-13「柚の浜」オリーブ木 植樹1

2022-09-13「柚の浜」オリーブ木 植樹2

2022-09-13「柚の浜」オリーブ木 植樹3

2022-09-13「柚の浜」オリーブ木 植樹4

※1 植生回復活動の一環として、豊島小・中学校と共同で、コバノミツバツツジの種から育成した苗木を不法投棄現場に植樹して育てる活動を行っており、NGPは2021年2月、豊島小・中学校、岡山大学、瀬戸内オリーブ基金と共同で植樹式を行った。(https://www.ngp.gr.jp/topics/topics_71.php

※2 「瀬戸内オリーブ基金」
自動車リサイクル制定の契機ともなった不法投棄事件が起こった香川県豊島の環境保全・再生活動に取り組むNPO法人(http://www.olive-foundation.org/

※3 「豊島事件」
1970年代後半から1990年にかけて、約90万トンの産業廃棄物が香川県豊島に不法投棄された、国内では戦後最大級といわれる不法投棄事件。不法投棄された産業廃棄物の中で、使用済自動車から発生するシュレッダーダストが最も多く、自動車リサイクル法制定のきっかけの1つとなった。

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