NGP 協同組合は、2025年11月11日・12日の2日間、香川県豊島にて環境保全・再生活動を行いました。第19 回目となる今回は、前回に続き「NPO法人瀬戸内オリーブ基金(※1)」の活動のひとつ「ゆたかなふるさと100年プロジェクト」で、「岡山大学大学院環境生命科学研究科の嶋教授との産学連携による豊島植生回復活動」のボランティアとして活動を行いました。
今回は、組合員と本部職員11名に加え、一般社団法人日本トラックリファインパーツ協会(以下、JTP)から5名が参加され、合計16名で実施しました。
NGPとJTPは「大型自動車リサイクル部品の環境負荷低減効果に関する産学共同研究」(※2)に取り組んでおり、同じ自動車リサイクル事業者として豊島の環境保全活動の力になりたいとの想いから、前回より一緒に活動をしています。
●岡山大学との産学連携による植生回復活動
今回は、前回の続きの作業として、「見本園」の整備、植樹を行いました。
見本園は、産業廃棄物不法投棄現場を唯一見渡すことができる展望台まで続く階段横にあり、かつて豊島に広がっていた自然植生を再現する場所となっています。
元々この場所は、不法投棄の影響で植生が崩壊し地面が露出した状態であったため、斜面の崩落を防ぐ目的で植えられた外来種のコマツナギが繁殖。不法投棄が行われる前の植生とは異なる状態になっており、僅か数種類の植物しか生育しておらず多様性が極めて乏しいのが現状でした。嶋教授は 「見た目は緑が回復しても豊かさは回復できていません」と語ります。
今回植樹したのは、元々豊島に自生していた「アラカシ」、「トベラ」、「クスノキ」、「クロガネモチ」、「ネズミモチ」の5種類、合計30本植樹しました。
植樹した後に、豊島の植生が根付いている土地から種子の混ざった土を運び、植樹した見本園に撒く作業をおこないました。これにより、見本園が元の豊島の植生により近いかたちになります。
また、岡山大学が豊島の植生回復の研究をしている区画で、雑草を刈る作業を行いました。この場所は、2024年に見本園と同じように豊島の植生が根付いている土地から種子の混ざった土を運び、撒いた場所になります。種から芽が出て育ち始めていて、その芽の育成を促進させるために陽の光を妨げる雑草を刈りました。育ち始めている植物の芽も刈ってしまわないよう印をつけながら、手作業で行いました。
これらの活動はとても地道で、人手も時間もかかる作業です。このプロジェクトを通じて、自然を壊すのは簡単だが、元に戻すのにはとても長い時間がかかること、現在の植生を単に放置しているだけでは「元通りの自然」を回復することが出来ないことを学びました。そして、植生回復活動、見本園を通じて、豊島に訪れるか方への環境教育の場として活用してもらいたいという、瀬戸内オリーブ基金の想いに共感し、この活動を続けていきます。
●不法投棄現場見学
今回は、初参加のメンバーが4名で、「豊島事件」(※3)と活動の意義について正しく理解してもらうため、見学会を実施しました。 不法投棄を起こした業者の元事務所を活用した「豊島こころの資料館」では、廃棄物対策豊島住民会議の石井亨さんより「豊島事件」の歴史や悲惨な状況、住民たちの壮絶な闘争の歴史、熱い思いを聞き、当時の写真や産廃(シュレッダーダスト)の剥ぎ取りを実際に見て、「豊島事件」と不法投棄現場の現況について学びました。
豊島で起きた不法投棄事件による環境被害は、まだ完全に回復できていません。NGP は今後も瀬戸内オリーブ基金、岡山大学と協力して、「豊島事件」の悲劇を二度と繰り返さないために環境保全・再生活動と3R の大切さを後世に伝える活動に取り 組んでまいります。
過去の「国立公園原状回復活動(岡山大学との植生回復活動)」についてはこちら
https://www.ngp.gr.jp/sdgs/teshima/recovery_univ.php
一般社団法人日本トラックリファインパーツ協会
https://jtp.or.jp/
※1 「瀬戸内オリーブ基金」
自動車リサイクル制定の契機ともなった不法投棄事件が起こった香川県豊島の環境保全・再生活動に取り組むNPO法人(http://www.olive-foundation.org/)
※2 「大型自動車リサイクル部品の環境負荷低減効果に関する産学共同研究」
https://www.ngp.gr.jp/press/p_info/74.php
※3 「豊島産廃問題の歴史」について
https://www.ngp.gr.jp/sdgs/teshima/history.php
以上