●岡山大学が調査・研究を行っている場所及び活動について
今回NGPが活動した場所は、産業廃棄物不法投棄現場すぐ近くの、豊島の産廃問題が起きる前の1960年後半に産廃事件を起こした首謀者が珪砂(ガラス原料)を目的とした大量の土砂の採取をした場所で、不法投棄現場同様に岩盤がむき出しの荒れ果てた土地でした。
2015年より、廃棄物対策豊島住民会議の安岐事務局長から豊島本来の植生回復について相談を受けたのをきっかけに、岡山大学の嶋教授は、この場所で調査・研究を開始し、定期的に雑草を刈りながら、元々生えていた約18種類ほどの植物を、種子から発芽したばかりの芽を育てる活動を3年ほど続けましたが、ウルシ、アカメガシワ、イヌザンショウなど、特定の植物しか育ちませんでした。
そこで、15~16種類の植物があった裏側の山林の攪乱されていない土地から、埋土種子を持ってきて30ヶ所ほど移植する作業を行いましたが、芽が出るところと出ないところがあり、調べてみると、岩盤までの深さが15cmを境に、浅いところは芽が出てもすぐに枯れてしまい、深いところは芽が育つということが判明しました。
そこから、大学の研究として、30cm、15cm、7.5cmの3パターンの土の厚さでどこが一番よく育つか調べて2年目になりますが、7.5cmではたくさん発芽しても全部枯れてしまい、30cm、15cmでは発芽する量は少ないものの、それが全部生き残って、大きくなることが分かりました。
今年は、できるだけ土を薄くしてより効率をよくするため、土地改良材や緑化資材などを試しながら検証しており、研究室の学生が卒業論文の研究として担当しています。
この場所は、種子から2年間育てたツツジを豊島の子どもたちが植樹する作業を、以前から行っていた場所でもあり、3年間ほど毎年ボランティアが草刈りをして種を蒔く活動を行っていました。コロナ禍もあり、ボランティアの人手が足らず、雑草や枯れ松はそのままに、イノシシ避けのネットが老朽化するなど、荒れた状態となってしまっていました。
せっかく子どもたちが植えた場所で、3年ほど活動していた場所でもあったので、そこを今回戻そうということで、今回のボランティア活動となりました。
●NGPの今回の活動について
この場所の環境再生を行うため、嶋教授指導のもと岡山大学が研究している区画の、雑草や枯れ松の除去作業と、老朽化していたイノシシ避けのネット撤去し新たにワイヤーメッシュを設置する作業を行いました。
今回新たに作業する場所では、老朽化したイノシシのネットに雑草が絡まり穴が空くなどしていたため撤去しました。最近では、イノシシが新芽を食べるなどの被害が多く出ており、イノシシ除けの強化を行うため、金属製のワイヤーメッシュの柵を設置しました。
また、ワイヤーメッシュを設置した区画内も、枯れ松や雑草が多く生い茂り、研究対象となる環境再生のため植栽した植物の成長を阻害していたため、除去を行いました。
また、今年5月に作業した見学道の階段脇の植栽地も夏場ということもあり、また雑草が生い茂ってしまっていたため、再度除去を行いました。
また、今年2月に豊島小・中学校、岡山大学、瀬戸内オリーブ基金と合同で植樹※1した、コバノミツバツツジの植栽地では、成長を阻害する雑草の除去を行いました。
嶋教授は、
「不法投棄現場が40年間ほったらかしになったらどうなるかというと、今回の作業場所のようにしかなりません。それではだめだろうということで研究がスタートしました。
現場はツツジの花が咲き始めているし、様々な植物も出てきて、大きくなっています。
放置すると松枯れと雑草がひどい状況となりますが、土を盛って手入れを続ければ順調に育つという見本になればよいと思っています。」 と語っています。
今回は残暑厳しく、35度を超える中での作業となりました。定期的な水分補給をしながら熱中症対策を行い、額に汗し活動を行いました。
枯れ松や雑草の除去は定期的な作業が必要なため、今後も定期的に活動を行い植生回復に取り組んでいきます。